原曲作曲者:モデスト・ムソルグスキー(1839~1881)
作曲年:1867年
リムスキー=コルサコフ版
編曲者:ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844~1908)
編曲年:1886年
「はげ山の一夜」は、ロシアの作曲家「モデスト・ムソルグスキー」が作曲した管弦楽曲で、現在広く演奏されている版は、友人であった「ニコライ・リムスキー=コルサコフ」が1886年に編曲・改訂したものです。原曲は1867年に完成しており、リムスキー=コルサコフ版とはかなり異なる音楽になっています。
魔女たちの饗宴を描いた音楽
この作品の題材となっているのは、ロシアの民間伝承に登場する聖ヨハネ祭の夜です。伝説では、この夜に「はげ山」に魔女や悪霊たちが集まり、恐ろしい宴を開くとされていました。ムソルグスキーはこの怪奇的な情景を、激しいリズムと強烈な管弦楽によって描きました。冒頭から不気味な緊張感が高まり、やがて魔女たちの騒乱、踊り、狂宴へと発展していきます。
ムソルグスキーの原曲とリムスキー=コルサコフ版
1867年に完成した原曲は、ムソルグスキー独特の荒々しく力強い音楽性を持っていました。しかし当時は作品が演奏される機会に恵まれず、ムソルグスキー自身もその後、この音楽を別の作品へ組み込むなど、何度か改作を行っています。
ムソルグスキーの死後、1886年にリムスキー=コルサコフがこの作品を大幅に編曲しました。リムスキー=コルサコフは優れた管弦楽法(楽器の組み合わせや音色を効果的に扱う技法)の名手として知られ、ムソルグスキーの音楽を整理し、より華やかで色彩豊かなオーケストレーションに仕上げました。
現在「はげ山の一夜」として一般に知られているのは、この1886年のリムスキー=コルサコフ編曲版です。同年10月にサンクトペテルブルクで初演されました。
このリムスキー=コルサコフ編曲版「はげ山の一夜」は、ムソルグスキーの独創的な音楽と、リムスキー=コルサコフの華麗な管弦楽法が結びついて生まれた、ロシア音楽を代表する幻想的な作品といえるでしょう。
はげ山の一夜
リムスキー編曲版
「はげ山の一夜」は、激しい音楽と怪奇的な雰囲気を持つことから、クラシック音楽の中でも特に印象に残りやすい作品です。
特に20世紀には、ディズニー映画『ファンタジア』で使用されたことによって、クラシック音楽に詳しくない人にも広く知られるようになりました。
なお、現在ではムソルグスキーが1867年に書いた原典版も演奏されるようになっています。原典版はリムスキー=コルサコフ版より荒々しく、独特の力強さを持っているため、両方を聴き比べると、二人の作曲家の音楽的な個性の違いがよく分かります。原曲が初めて演奏・出版されたのは、ムソルグスキーの死後かなり経ってからでした。

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