シチリアーノ(パラディス)

ワルツ・ピアノ曲・小作品

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「シチリアーノ(Sicilienne)」は、18世紀ウィーンの女性音楽家マリア・テレジア・フォン・パラディスの作品として長く親しまれてきた美しい小品です。変ホ長調による穏やかな旋律と、ゆったりとした6/8拍子のリズムが特徴で、どこか物悲しく、それでいて温かな情感を感じさせます。

パラディスは1759年にウィーンに生まれ、幼いころから音楽の才能を発揮しました。盲目でありながら優れたピアニストとしてヨーロッパ各地を演奏旅行し、作曲家としても多くの歌曲、ピアノ曲、オペラ、カンタータなどを残しています。1783年から1787年にかけての演奏旅行では、フランス、ドイツ、イギリスなどを訪れ、各地で高い評価を受けました。

「シチリアーノ」はパラディスの代表作として知られていますが、その作曲者については現在、大きな疑問が生じています。パラディスの生前にこの曲が出版された記録がなく、現存する原稿も確認されていません。1924年になって、ヴァイオリニストのサミュエル・ドゥシュキンによって「発見」され、ヴァイオリンとピアノのための作品として出版されました。

その後の研究では、この曲はパラディスの真作ではなく、ドゥシュキン自身が作曲した可能性が高いという説が有力になっています。また、カール・マリア・フォン・ウェーバーの作品との関連を指摘する研究もあります。

 シチリアーノ(パラディス)

このように「シチリアーノ」は、作曲者をめぐる謎を抱えた作品です。しかし、作者が誰であるかという問題とは別に、その旋律が持つ静かな美しさは多くの人々を魅了してきました。ヴァイオリンやチェロの歌うような音色によく映えるこの曲は、現在もクラシック音楽の小品として広く演奏されています。

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