作曲者:フランツ・シューベルト(1797~1828)
作曲年:1816年
作品番号:D417
副題:「悲劇的(Tragische)」
フランツ・シューベルトが1816年、19歳のときに作曲した交響曲です。4月27日に完成したことが自筆譜から確認されており、シューベルト自身によって「悲劇的(Tragische)」という題が付けられました。
シューベルトの交響曲の中では初めて短調(ハ短調)で書かれた作品で、若きシューベルトがそれまでの明るく親しみやすい作風から一歩踏み込み、緊張感のある劇的な音楽に挑んだ作品といえます。特にハ短調という調性は、同じ調性を用いたベートーヴェンの《交響曲第5番「運命」》などを連想させ、当時シューベルトがベートーヴェンを強く意識していたこともうかがえます。
全4楽章から構成され、第1楽章は重々しい序奏「Adagio molto」から始まり、力強い「Allegro vivace」へと展開します。第2楽章「Andante」では一転して、シューベルトらしい美しく抒情的な旋律が歌われます。第3楽章「Menuetto」は活発なリズムを持ち、第4楽章「Allegro」では再びハ短調の緊張感が戻り、激しい音楽が繰り広げられます。
しかし、最後はハ長調に転じて明るく力強く終わります。全編が悲劇的な雰囲気に覆われているわけではなく、「暗さ」と「明るさ」の対比に、この作品の大きな魅力があります。
交響曲第4番「悲劇的」
シューベルト
この交響曲はシューベルトの生前には公開演奏されず、公開初演は1849年11月19日、ライプツィヒで行われました。シューベルトの死から21年後のことでした。
19歳という若さで書かれた《交響曲第4番「悲劇的」》には、古典派の伝統を受け継ぎながら、後のシューベルトにつながる豊かな旋律性と独自の抒情性がすでに表れています。特に第2楽章の美しい旋律と、両端楽章における劇的な緊張感との対比は、この作品を聴くうえでの大きな聴きどころです。

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