作曲者:ベンジャマン・ゴダール(Benjamin Godard)
原曲:歌劇『ジョスラン』Op.100より「子守歌(Berceuse)」
作曲:1887年
歌劇初演:1888年2月25日、ブリュッセル
日本語訳詞:近藤朔風
日本での紹介:1909年(明治42年)ごろ
「ジョスランの子守歌」は、フランスの作曲家ベンジャマン・ゴダールが作曲した4幕の歌劇『ジョスラン』の中で歌われる美しい子守歌です。歌劇『ジョスラン』はアルフォンス・ド・ラマルティーヌの詩をもとに、アルマン・シルヴェストルとヴィクトル・カプールが台本を手がけ、1887年に完成しました。翌1888年2月25日、ブリュッセルのモネ劇場で初演されています。
作品の中で歌われる「子守歌」は、穏やかで美しい旋律が印象的な曲です。もともとはテノールのために書かれた歌曲ですが、その親しみやすい旋律から、独唱だけでなくヴァイオリンやチェロ、ピアノなど、さまざまな楽器による編曲でも演奏されるようになりました。特にチェロによる演奏はよく知られています。
日本では、詩人・訳詞家の近藤朔風による日本語訳で広く知られるようになりました。近藤朔風は「野ばら」「ローレライ」「菩提樹」など、明治から大正期に日本へ紹介された外国歌曲の訳詞を数多く手がけた人物です。「ジョスランの子守歌」も、1909年(明治42年)ごろに日本で紹介された歌曲の一つとされています。
静かな夜に子どもを眠らせるような優しい旋律の中には、祈りや悲しみ、そして愛情が込められています。そのため単なる子守歌としてだけではなく、19世紀フランスのロマン派音楽らしい、甘美で感傷的な歌曲としても親しまれてきました。
日本では戦前から女学生などにも愛唱され、現在でもクラシック音楽の名曲として、声楽や器楽のさまざまな形で演奏されています。
「ジョスランの子守歌」は、ゴダールの歌劇そのものよりも、その中の一曲が特に有名になった代表的な例です。静かで美しい旋律は、時代を越えて聴く人の心を落ち着かせる魅力を持っています。
ジョスランの子守歌
ジョスランの子守歌
訳詞:近藤朔風
作曲:Benjamin Godard
1
むごきさだめ 身にあふりて
汝れと眠る 呪われの夜
胸の憂い 夢に忘れん
祈らばや ゆらぐ星のもと
夢のまきまきに あこがれよ み空へ
眠れいとし子よ 眠れ今は小夜中(さよなか)
ああ夢ぞいのち マリアよ守りませ
2
愛のつばさに おおわれつ
わが来し方(こしかた) かえりみれば
流れたゆとう 波にも似たり
あわれいく日 祈りに泣きぬ
夢のまきまきに あこがれよ み空へ
眠れいとし子よ 眠れ今は小夜中
ああ夢ぞいのち マリアよ守りませ

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